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両方うまく行くわけないだろう」と、笑っていたものだ。
この社長というのは、虚弱体質を克服して一代で梱包会社を築いた人物。
友人が「馬を読む男がいるから」と、私を紹介して知り合った。
テストの日、一発で決めて(2レース、パーフェクト的中でそれから私と競馬の付き合いが始まった。
この社長、勝負事はまったくやらなかったが、勝負師以上のクールさには感心した。
競馬も企業としてやりたい。
だから全レース、100%的中させてくれ、と言われた(この当時の私は、的中すればその時点で終わりというやり方だった)かといってケチなのではない。
自分が行かないのにも関わらず、200万、380万と、私に渡すのだ。
これだと、廊つでも勝たなかったと報告すればそれまでだ。
そのまま持ち逃げすることだって出来る(なにせ住所不定のフータローだ)。
しかし、そんな気はまったく起きなかった。
今思うと、不思議なくらいだ。
あるとき、社長は一プロ(康雀プロか競馬のプロのことか分からなかった。
考えれば、社長とは競馬の付き合い。
なら競馬に決まっているのに)は、勝ち負けではなく信頼(これも、そのときはどういう意味か分からなかった)だ」とも言った。
レースは思す、パドックに立っている。
結果はもとより、そのレースが的中したかどうかも言わず、いつも柔和な顔をしていた。
だから貫けたときなど、友人は「観音様のようだ」と言っていた。
勝っても負けても、私に渡すカネは2万円か、ホテル代込みの2万8000円と決まっていた。
社長が一人で行き(私と連絡取れず。
一人のほうが、かえって良かったのではと言ったら、それでも私が側にいて欲しかったと言う)、250万勝ったこともある。
しかし、自分は競馬で社員を食べさせて行く自信はないと、個人的には無敗のまま競馬をやめてしまった。
Tの思想、行動に対して否定的な意見を述べると、とことん叩きのめされる。
それで、事なかれ主義ではないが、とりあえずTに対しては否定的なことは言わないように過ごしていたのだが、本を書く上で、どうしても確認しておきたいことや、納得のいかない供述の部分に対する補足説明が欲しくて質問することがある。
その最大の部分が、局長との任され勝負での敗因だった。
Tは言った。
「局長との勝負、馬券では散ったが馬読みは敗れていない」700万円も儲かったとはいっても、その後はなし崩し的にネタを失っている。
局長日記も途切れ、具体的に金額がいくらとは誰も言わないために、詳細は闇の中なのだが、真相がどうであれ「負けは負け」なのではないか。
一般人(つまりぼく)の感覚では「負けは負け。
問答無用ではないんですか?」と言いたくなる。
しかし、その事実を隠して「Tの馬券はよく当たる」と誇張して言ったり、負けた事実をうやむやにして書いたりしては読者に申し訳ない。
まえがきに「競馬に対する考え方が変わる。
馬券が飛躍的に上達する」みたいなことを書いてしまった身としては、Tに再確認しなくてはいけない。
とりあえず、1996年の夏の時点で受け取った手紙から「負けた原因について」の記述を抜き出してみよう。
「負けた」原因を説明します。
もちろん教えるのは私ですから、100%、負けたのは私の責任ですが、そのことは置いといて、負け勝負には負ける理由があるのです。
でも、これは日記には書けません。
局長に申し訳ないし、気色悪くされるでせう。
しかし本人(T)は負けたつもりはありません。
鉄則通りやっていれば負けない。
また、個人で200万のネタを持っていれば、今の私は。
無敗の形が出来上がっています。
これは結果論ですが、一応、タブーを犯したことになる。
昨日話したノルマ達成の件も、しばらく競馬が出来ないからと、続行して失敗している。
局長との勝賞、問題の2日問、勝ちが負けになった。
ここでの4敗のコマの上げ下げが、1800万円近くになっています。
つまり、700万円の勝ちは、実際は1500万円以上の勝ちになっていたはずだった。
以上の2日聞の上下だけで、この通りです。
あと、心理的なものもあります。
ゲストが来て負けた日のこと。
一応、日記には書いていますが、それが敗因とは書いていません。
人のせいにするなんて、勝負師の風土にも置けませんからねネ。
ただ、馬読みは心理的な面が8割くらいありますからネ。
教わる人の、気っ風が影響するのです。
もちろん、負け情しみだが、勝負学の話としては、これは重要なことなのです。
テレビのバラエティ番組で、ゼスチャーのリレークイズがあります。
答えを見て、それをゼスチャーして相手に伝える。
それを受けた人が、また次の人にゼスチャーをする。
そうしてリレーして、最後の人が筈える。
量初のうちはいいが、だんだんゼスチャーが変わって、最後はとんでもない答えになる。
こういうケース、人に教える勝負でよくあることなのです。
ゲストが来る場合、私が局長に教え(それすらよく伝わらないことがある)、局長がそれをゲストに教える。
本当は、時間的に無理がある。
しかもご存じの通り、細かなことは言わない、大まかな性格のお人です(これ、局長に限らない。
O型の人は、みんなそうです。
場に呑まれない、勝負度胸はあるが、注意力が足りないのが、O型の人の長所と短所なのです)。
あのとき「二点、抑え。
買わなくてもいいが」と、一点を加えた。
狙いは×からO、ム印だった。
ところが、Oの枠にOが同居していた。
そして局長に教えたあと、西原女史がやってきて「馬連より、ニ頭いるのだから枠のほうがいいでせう、同じなのだから」そして「ゾ口目も買いましょう」と言う。
このとき、正直カlッと来ました。
嫌味な女が言うセリフです。
一番、私が頭に来るタイプの女のセリフだった(そのあと、個人的には仲良くしているし、そういう女性ではなかった)。
もちろん、そのとき私は怒るどころか、何も言いませんでした。
何も言わないというのは、文句を言うより、頭に来ている、無視しているということになるのですが・馬券、×Oと、×Oでは同じどころの噴きではないし、ましてOOなんて教えていないのです(×Oも)。
局長も錯覚したのでせう。
だから、あとで漫画に「本命サイドを教えて、ただカネがあるから勝っている」なんて描かれて、頭に来たものです。
別に、私が「儲けさせます」と言って呼んだわけじゃない。
カネでのくだり、それでいいのです。
局長には、いつも言います。
「カネの力でねじ伏せろ(馬券買いのことでこと。
このレース、外しました。
もう一点、×から流していれば的中していた。
しかし、これは言えません、書けません。
どんな高配当でも、四点以上は教えられませんし、もし当たっても自慢にもなりませんからーー。
そしてそういうことがあって、この日はゲストが来る前に、局長と私、それぞれ一本的中で、あとは全部外して、ジ・エンドとなった。
この日の心理状態は日記に書いであった通りです(これが5敗目)。
そして極めつけ、前代未聞の競馬場間違いを局長は三度しています。
当然、大遅刻。
3レース、4レース頃に来て、それ以前に的中(いつも1レースで的中させて帰る覚悟でパドック見ていますから)していた。
東京・中山・船橋です。
これで3敗。
で也、これも私からすれば3勝なのです。
この上下だけでも、B00万になるでせう。
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